はるぱりじかん

東京パリカのブンガク恋慕 ーー 遙カ成リ巴里 vol. 20

「おふろぼん」

わたしはあまり長湯をしないから、お湯につかって本を読むということはあまりしないのだけれど、ひさしぶりにやってみている。

 

長湯をしないから、読んでもせいぜい1ページとか、2ページ、3、4ページくらいなのでいっこうにすすまないのだけれど、ここのところ、幸田文を読んでいる。すこしずつ、すこしずつ。

 

幸田文をよむのはひさしぶりだけれど、幸田文ともなると、だいすきでも、だいすき、なんていうのはもう図々しい気がする。軽く響くと困るけれど、尊敬の念がある。

 

『北愁』。文のつなぎが、とても活きがよくて、文字がピチャピチャと跳ね上がるみたいだ。読んでいるのは、読み逃していた『北愁』で、れいによっておてんばな女の子が登場するのだけれど、文字が跳ね上がるのはその子のせいではない、その子はおてんばといっても、じっさいはすこしも跳ねたりはしない。そうみえるだけで、跳ねたりしない。文字が跳ね上がる気がするのは、たぶん、魚のイメージのせいなのだとおもう。北の、おてんばちゃんが見たこともない広くて青い海の、魚たちのイメージのせいなのだとおもう。

 

 

それにしても、「おふろぼん」にしてしまって、1ページ、2ページ、読んだところをまた戻って読んだりしても、不思議なほどに豊かな文の波があって、飽きない。ただでさえ、すこしずつなのだから、そのまま「おふろぼん」にしていたら、いつ読み終わるかわからない。読み終わらないかもしれない。

 

 

北愁 (講談社文芸文庫)

北愁 (講談社文芸文庫)